コラム
医療事務の仕事内容|医療秘書との違いや就職が有利になる資格も
医療機関などにおいて様々なサポート業務を行う医療事務は、医療現場に欠かせない職業の1つであり、高齢化社会の進行にしたがって需要も高まっています。求人数も多いことから、医療事務を目指している方も多いのではないでしょうか。
当記事では、医療事務の仕事内容や給料相場について解説します。医療事務になるための方法や資格の有無、取得しておくと有利な資格の種類も併せて確認し、医療事務の仕事が自分に合っているかどうかチェックしましょう。
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目次
1.医療事務とは?
医療事務とは、医療機関(病院や診療所・クリニックなど)で患者の受付や会計、診療報酬請求といった業務を主に行う職業であり、医療機関には欠かせない存在です。
医療事務は、医師や看護師のように、患者に直接医療行為や看護ケアを行うわけではありません。しかし現代の日本は、2019年10月における高齢者(65歳以上)の人口は3,589万人と、総人口(1億2,617万人)の28.4%を占めるなど、社会の高齢化が進んでいます。今後さらに高齢者の受診機会が増えるでしょう。
医療機関を受診する患者が増えることにより、患者対応にあたる医療事務の需要も一層高まると考えられます。今後も全国で一定の需要があると推測されるため、医療事務は長く安定して働ける魅力のある職業といえるでしょう。
1-1.医療事務と医療秘書の違い
医療事務とよく似た名称の職業の1つに、「医療秘書」という仕事があります。医療事務と医療秘書は、どのような点で異なるのでしょうか。
医療事務は、病院やクリニックなどの医療機関で、患者の受付や会計といった窓口業務、診療報酬の計算・レセプト(明細書)作成などを主に行います。医療秘書の主な勤務先も医療機関となりますが、医療事務が担う患者対応の業務に加えて、情報管理業務や秘書業務など、医師や看護師などをサポートする業務も担当します。
医療秘書の仕事は医療事務の仕事よりも、業務範囲がやや広いことが特徴です。ただし、職場によっては、医療事務が秘書的な役割を担っていることもあります。就職や転職の際には、求人情報や面接などで業務内容をきちんと確認しておくことが重要です。
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2.医療事務の主な仕事内容
医療事務は患者の個人情報や会計情報など、重要かつ大量の情報を管理します。そのため、患者に関する資料を紛失したり他の資料と混ぜたりしないよう、書類を几帳面に整頓しながら仕事を進められる方に向いている職業といえます。
また、医療事務は患者対応を行う仕事であるため、様々な業務を早く正確に行うことも重要です。仕事を迅速かつ正確に処理できる能力があれば、大量のレセプト作成業務も効率よく行えるでしょう。
医療事務は几帳面かつ迅速で、確実な処理能力がある方に向いているといわれていますが、具体的な仕事内容を把握した上で、医療事務を目指すかどうか決めたい方もいるでしょう。ここでは、医療事務の主な仕事内容について紹介します。具体的な仕事内容を確認し、向き・不向きを判断する際の参考にしてください。
2-1.受付・会計業務
医療事務の主な仕事として、医療機関の外来診療に訪れた患者の受付業務が挙げられます。予約の確認や問診票などによる簡単な聞き取りを行い、診察券や保険証を受け取ってカルテなどとともに管理します。初診の場合はカルテ管理に加えて、保険証などの情報からカルテ作成も行います。
診察室への呼び出しや受診する診療科への案内、次回の診療予約なども受付業務の一環です。電話応対や待合スペース・待合室の管理・清掃などを任される場合もあります。
患者の診察後に行われる医療費の会計業務も、医療事務の仕事の1つです。患者が受けた医療情報をコンピュータに入力し、患者に請求する金額を算出して患者に提示します。会計終了後には保険証や診察券などを返却し、領収書や処方箋を渡すことで、その患者の会計業務は終了となります。
2-2.レセプト作成業務
レセプト作成業務(診療報酬請求業務)は、医療事務が行う業務の中でも重要な仕事の1つです。「レセプト」とは「診療報酬明細書」のことであり、患者が加入している健康保険組合などの審査支払機関に請求する、医療費(診療費)の明細書を指します。
医療事務は、カルテの情報などから診療報酬点数を計算し、レセプトの作成・点検・医師の確認から、健康保険の審査支払機関に提出するまでの一連の手続きを行います。当月分のレセプトは翌月10日までに作成して請求する必要があるため、レセプト作成作業を行う時期はいつもより忙しくなることが予想されます。
2-3.クラーク業務
入院施設のある規模の大きな病院では、入退院時に必要な書類の受け渡しや入院費などの説明、病院内の利用案内などの病棟クラークの業務を、医療事務が担うケースもあります。病棟クラーク業務は入院予定患者や入院患者への対応がメインとなるため、病棟のナースステーションを拠点として業務を行うことが一般的です。
クラーク業務は、入院予定・入院中の患者の不安を減らすためにも、入院費などの支払い方法や支払い期限、差額のベッド代といった費用面の説明を丁寧に行うことが重要となります。高額療養費制度など、医療費が高額になった場合に利用できる保険制度などもきちんと把握し、患者が安心して治療できるように深い知識を蓄える必要があるでしょう。
3.医療事務の給料相場
医療事務は、医療機関で患者対応を行うことで、医療現場の運営をサポートする仕事です。診療報酬などに関する深い知識や、患者への丁寧な対応が求められる仕事であり、やりがいの多い仕事でもありますが、収入面が気になる方も多いでしょう。
求人サイトをもとに作成した医療事務の平均年収と、「民間給与実態統計調査」における給与所得者の平均年収は、下記のとおりです。
給与所得者の平均年収(※) 約436万円 医療事務の平均年収 約272万~約368万円
上記の表において、医療事務の平均年収は、給与所得者の平均年収よりもやや低い水準となっています。ただし、給与所得者の平均年収が「平均年齢46.7歳・平均勤続年数12.4年」のデータであり、医療事務の平均年収は求人サイトに基づく数値です。そのため、年齢や勤続年数によっては、上記の金額よりも高い収入を狙うことが可能です。
なお、医療事務として勤務しながら給料を上げる方法としては、「国公立・大学病院など規模の大きい病院への就職を目指す」「有利になる資格を取得する」などが考えられます。
4.医療事務になるための方法
医療事務の仕事には、診療報酬の請求業務など専門知識が必要な業務もあり、関連する資格も多数存在しますが、医療事務になるために必須となる資格はありません。資格や経験がなくても、正社員(正職員)やパートといった希望の雇用形態で採用されることもあり、職場で経験を積み医療事務のスタッフとして大いに活躍することが可能です。
「より有利な条件で就職・転職したい」「医療事務としてのキャリアアップ・スキルアップを図りたい」という方は、医療事務関連の資格取得を目指すことをおすすめします。
4-1.医療事務が取得すると有利な資格
医療事務に関連する資格には、さまざまな民間資格があります。最後は、医療事務として働く上で有利となりやすい2つの資格を紹介します。
(1)診療報酬請求事務能力認定試験[医科] |
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医療費の請求を行う診療報酬請求事務の知識と技能レベルを評価、認定します。合格率約30%の最難関資格の1つです。 |
(2)医療秘書技能検定 |
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医療秘書教育全国協議会が主催する民間資格であり、レセプト作成など医療事務スタッフに必要な技能を有することを証明する検定です。 |
その他、「電子カルテ実技検定」や「医事コンピュータ技能検定」も有利に働く資格です。医療事務は無資格・未経験でも働けますが、資格を取得することで「自信を持って就業できる」「就職先・転職先の幅が広がる」といったメリットがあります。医療事務に関係する資格取得も視野に入れながら、医療事務としての就職・転職を目指しましょう。
まとめ
医療事務は、主に患者の受付・会計業務やレセプト作成業務を担当し、丁寧さや正確性とともに、迅速さも求められる職業です。給料相場の水準は一般の職種と比べて高いとはいえませんが、就職先や資格手当を増やせるような働き方をすることで、収入増を狙えるでしょう。
医療事務として働くために必須となる資格や業務経験はありませんが、働く上で有利となる関連資格はいくつか存在します。医療事務として実践力を磨きつつ資格取得を目標としたい方は、医療事務に関する資格取得や正職員就職が目指せる「早稲田速記医療福祉専門学校」の医療秘書科、医療事務IT科、診療情報管理科をぜひご検討ください。