コラム
医療事務の給料相場とは?平均年収や待遇・給料アップのコツも解説
医療事務として働こうと考えたとき、「給料はどのくらいなのか」「職場によって待遇は変わるのか」と疑問を抱く方もいるでしょう。医療事務は、勤務先によって給料事情や待遇に差があります。初任給はやや控えめな傾向にありますが、年齢や経験を重ねれば、努力次第で収入を上げることも可能です。
当記事では、医療事務の給料相場や職場別の年収、待遇の実情、給料アップのポイントを分かりやすく解説します。医療事務を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
1. 医療事務の給料相場はいくら?
医療事務員の給料は、学歴や年齢に応じて段階的に上昇します。医労連の調査によると、大卒事務の初任給は約18.9万円で、35歳の平均月給は約26.1万円、50歳で約33.7万円、59歳で約36.1万円です。一方、高卒事務の場合は初任給が約16.4万円から始まり、59歳時点では約34.9万円に達します。
医療事務員のモデル月収(2024年)
| 初任給 | 35歳 | 50歳 | 59歳 | |
|---|---|---|---|---|
| 大卒事務 | 189,131円 | 260,887円 | 337,433円 | 360,577円 | 
| 高卒事務 | 164,035円 | 251,784円 | 325,424円 | 348,522円 | 
このように、医療事務は初任給はやや控えめですが、他の事務職に比べると年齢やキャリアを積むにつれて着実に給与が上昇する点が特徴です。たとえば、秘書の平均月収は約37.8万円、一般事務従事者は約33.1万円とされていますが、医療事務も経験を重ねることで遜色のない水準に到達できます。さらに、医療現場を支える専門性の高い仕事であるため、長期的に安定して働ける環境が整っている点も魅力です。
| 職種区分 | 平均月収 | 
|---|---|
| 受付・案内事務員 | 256,500円 | 
| 秘書 | 378,000円 | 
| 介護事務 | 317,620円 | 
| 看護助手 | 235,200円 | 
| その他の一般事務従事者 | 330,900円 | 
2. 【職場別】医療事務員の平均年収の相場
医療事務員の平均年収は勤務先によって変わります。厚生労働省の調査では、医療事務員を含む「その他の一般事務従事者」の平均年収は約481万円とされています。ここからは、職場や規模別の給料情報について詳しく説明します。
2-1. 病院
病院で働く医療事務員は、病院事務と呼ばれることがあります。受付や会計、レセプト業務(診療報酬請求業務)などの一般的な医療事務に加え、総務・人事・経理といった病院運営に関わる事務総合業務を担う場合もあります。外来や病棟に配置されるクラーク業務では、患者対応や医療スタッフのサポートなど、現場に近い役割を果たすのも特徴です。
年収面では開設主体によって差が見られます。国立病院で約606万円、公立病院で約504万円と高めですが、医療法人では約370万円と低めです。全体の平均は約422万円で、規模や運営母体により待遇が変わることが分かります。
| 開設主体 | 平均年収 | 
|---|---|
| 国立病院 | 6,063,834円 | 
| 公立病院 | 5,040,490円 | 
| 公的病院 | 4,538,162円 | 
| 社会保険関係法人 | 5,195,382円 | 
| 医療法人 | 3,698,813円 | 
| その他 | 4,161,246円 | 
| 個人 | 4,425,862円 | 
| 全体平均 | 4,219,317円 | 
2-2. クリニック
クリニックに勤務する医療事務員は、受付・会計・レセプト作成業務を中心に幅広い事務を担います。規模が病院に比べて小さいため、備品管理や院内清掃などの雑務を兼務することもあり、少人数で連携しながら業務を進める点が特徴です。また、病院よりも患者数が限られることから、自分のペースで丁寧な対応ができる環境が整っている傾向にあります。
年収は開設主体によって差があります。個人経営で約288万円、医療法人で約325万円、その他で約355万円、全体平均は約319万円です。規模の小ささゆえ給与水準は病院より控えめですが、患者さんとの距離が近く、やりがいを感じやすい職場と言えるでしょう。
| 開設主体 | 平均年収 | 
|---|---|
| 個人 | 2,883,246円 | 
| 医療法人 | 3,247,685円 | 
| その他 | 3,550,755円 | 
| 全体平均 | 3,185,775円 | 
2-3. 福祉(介護)事業所
福祉事業所に勤務する医療事務員、いわゆる介護事務は、介護施設や訪問介護事業所などでデスクワークを中心に事務作業を担う職種です。主な仕事内容は利用者さんや家族の受付業務、電話応対、介護給付費明細書を作成して国保連へ介護報酬を請求するレセプト業務などです。さらに、職員の勤怠・給与管理、備品発注などの労務・経理業務や、ケアマネジャーの書類作成補助、ときには清掃や配膳といった現場支援を行うこともあります。
少人数体制の事業所では業務の幅が広く、総務的な役割も担うため、多様なスキルが身につくでしょう。人と接する機会が多く、利用者さんやご家族に寄り添う姿勢も求められます。介護事務の平均年収は約445万円とされており、安定した介護需要のもとで、長期的に働ける点も魅力と言えるでしょう。
| 開設主体 | 平均年収※平均月収x14で計算 | 
|---|---|
| 介護事業所 | 4,446,680円 | 
3. 医療事務の待遇はよい?
医療事務の待遇は職場や雇用形態によって異なります。職場を選ぶ際は、給与水準だけでなく、昇給制度や福利厚生、勤務時間の柔軟さなども含めて考えることが大切です。ここでは、医療事務の待遇面の実情を詳しく解説します。
3-1. 残業代やボーナスは支給される?
医療事務の残業代は基本的に法定通り支給されます。受付や会計業務が混み合う時間帯や繁忙期には残業が発生することもありますが、その分の時間外手当は原則として保障されます。
ボーナスは、勤務先の経営状況や雇用形態によって異なるのが実情です。大学病院や総合病院など大規模な医療機関では支給されることが多い一方、小規模なクリニックでは支給がない場合もあります。賞与の有無は求人情報や募集要項に明記されているため、応募前に確認することが大切です。
3-2. 有休は取得できる?
医療事務はシフト制を導入している職場が多いため、比較的柔軟に休みを取りやすい傾向にあります。特に大規模な病院や大学病院ではスタッフの数が多く、シフトの調整が利きやすいことから、有給休暇の取得がしやすい環境が整っています。
一方で、小規模なクリニックや限られた人数で運営される施設では、基本的には有休を取得できるものの、人員状況や時期などによっては休暇取得が難しくなることもあります。休みやすさを重視するならシフト体制が整った総合病院が選択肢になりますが、小規模なクリニックでも事前の相談でシフト調整ができるので、自分の希望に合う職場を選ぶことが大切です。
3-3. 社会保険は完備されている?
規模を問わず、多くの医療機関では社会保険に加入できます。中でも国公立病院や大手医療法人では、法定通りの社会保険に加えて福利厚生が手厚く、住宅手当や育児支援などの制度面が充実しているケースも少なくありません。
勤務形態がパートやアルバイトの場合でも、週の所定労働時間や月額賃金が一定以上であれば、基本的には厚生年金や健康保険に加入できます。
4. 医療事務が給料アップをするポイント
医療事務は専門性を生かして安定して働ける職種ですが、工夫次第でさらに待遇を高めることも可能です。ここでは、給料アップにつながるポイントを紹介します。
- 資格を取得する
 
医療事務の仕事に必須資格はありませんが、関連資格を持つことで知識やスキルを証明でき、評価が高まります。たとえば、「医療事務技能審査試験」や「医療事務検定試験」を取得すれば専門性を示すことができ、「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」のようなパソコン資格は実務に直結します。勤務先によっては資格手当が支給される場合もあるので、資格取得で毎月の収入アップを図れるでしょう。
- キャリアアップを目指す
 
長く勤務を続けて経験を積むことで、主任や事務長といった役職に昇進できる可能性があります。管理職などの役職に就けば責任は増えますが、その分昇給や役職手当が期待できます。日々の業務に真摯に取り組み、積極的にスキルを磨くことがキャリアアップの近道です。
- 転職で新たな環境に挑戦する
 
現在の職場で給与改善が見込めない場合、転職によって好待遇を得られる可能性もあります。医療法人や自由診療を行うクリニックの中には、経験や資格を評価して高い給与条件を提示してくれることも少なくありません。パートやアルバイトから正社員へ転職することで、安定した収入や社会保険制度を得られるケースもあります。
まとめ
医療事務は、職場や勤務条件によって年収水準が異なるものの、需要が安定しており、キャリアを築きやすい仕事です。初任給は控えめでも、経験や年齢を重ねることで他の事務職と遜色のない水準に到達できます。また、残業代やボーナスの支給、有給休暇、社会保険などの待遇も多くの医療機関で整っており、長く安心して働くことが可能です。
さらに、資格の取得やキャリアアップ、転職などの方法によって、収入や待遇を一層高めるチャンスもあります。大切なのは、自分のライフスタイルや将来像に合わせて働き方を選び、積極的にスキルを磨く姿勢を持つことです。医療事務を目指す際は、専門的な知識と実践力が身につく「早稲田速記医療福祉専門学校」での学びを検討してみてはいかがでしょうか。













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