コラム
医療事務に将来性はある?AI時代に市場需要を保つスキルも解説
「医療事務はAIに仕事を奪われるのではないか」「資格試験が終了したと聞いて不安になった」など、将来性に疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。確かに、IT化や自動化の進展により、医療現場の業務内容は変化しています。しかし一方で、高齢化の進行や医師の働き方改革など、医療を取り巻く環境は大きく動いており、事務職に求められる役割も広がっています。
当記事では、医療事務に将来性がないと言われる理由を整理した上で、AI時代でも求められる理由や、これから身につけたいスキルについて詳しく解説します。
1. 「医療事務に将来性はない」と言われる理由は?
医療事務に将来性がないと言われる背景には、AIによる自動化の進展と資格制度の変化があります。
2015年に株式会社野村総合研究所が発表したレポートでは、国内の労働人口の約49%が技術的に自動化可能とされ、医療事務を含む事務職も対象に挙げられました。また、公益財団法人日本医療保険事務協会が実施してきた診療報酬請求事務能力認定試験は2025年実施分をもって終了しました。こうした動きを受け、「医療事務は将来なくなるのではないか」と不安に思う方も増えています。
1-1. 医療事務と一般事務の違い
医療事務は医療制度に精通した専門職であり、一般事務とは求められる知識と業務範囲が大きく異なります。
一般事務はデータ入力や書類作成、電話対応など汎用的な事務作業が中心ですが、医療事務は受付や会計に加え、診療報酬請求(レセプト)業務、カルテ管理、保険資格確認など、医療保険制度に基づく専門的な事務を担当します。
勤務先も、医療事務は病院やクリニック、調剤薬局など医療機関が中心で、患者さんや医師、看護師など多職種と連携するため、接遇力と正確性が強く求められます。一般事務は企業や官公庁など幅広い業種で活躍でき、業界によって仕事内容が変わる点が特徴です。
医療事務は専門性による安定性、一般事務は業界選択によるキャリアの広がりという違いがあります。どちらが将来性が高いかは一概に決められず、自身の適性や働き方の希望を踏まえて選ぶことが大切です。
2. AI時代でも医療事務の仕事に将来性はある?
AIやITの進化により医療現場の自動化は進んでいますが、医療事務の仕事が直ちになくなるとは言い切れません。電子カルテや自動受付機の導入で業務効率は向上していますが、最終確認や対人対応は依然として人が担っています。高齢化の進行や医師の働き方改革も踏まえると、役割は変化しながらも需要は続くと考えられます。
ここでは、医療事務に将来性があると考えられる理由を解説します。
2-1. 医療需要は今後とも伸びていく
医療需要は今後も拡大が見込まれており、医療事務の基盤となる仕事量は安定すると考えられます。日本は超高齢社会が続いており、高齢者は通院や検査の機会が増える傾向があるため、医療機関の利用は今後も一定数見込まれます。
また、医療事務の勤務先は病院やクリニックに限られません。健診センターや訪問看護ステーション、介護施設など多様な現場で事務職が必要とされています。高齢化に伴い医療と介護の連携が進む中で、保険制度に詳しい人材の価値は高まります。
医療需要の増加は、医療事務の安定性を支える要素だと考えられます。
2-2. 接遇や確認作業はAIが代替できない
医療現場では自動再診受付機や自動精算機が普及していますが、すべての業務をAIが担えるわけではありません。IT導入により請求事務は効率化した一方で、最終確認やイレギュラー対応は人の判断に依存しています。
たとえば、レセプト請求では自動計算が可能でも、記載内容の整合性確認やコメント入力は専門知識を持つ職員が行います。また、高齢の患者さんが受付機の操作に戸惑う場面では、丁寧な声かけやサポートが必要です。
不安を抱える患者さんへの配慮や臨機応変な対応は、現時点のAIでは完全に代替できません。
2-3. 医療事務作業補助者のニーズが高まっている
医師の働き方改革が進む中で、医療事務作業補助者、いわゆる医療クラークの需要が高まっています。2024年4月から医師にも時間外労働の上限規制が適用され、診療以外の事務負担を軽減する取り組みが求められています。カルテ入力や診断書作成補助などを担う人材の確保は、多くの医療機関にとって重要な課題です。
医療事務の経験があれば、保険制度や医療用語の理解を生かして医療クラークへステップアップする道もあります。医師が本来の診療業務に集中できる体制づくりは、病院経営の効率化にも直結します。こうした背景から、事務スキルと医療知識を兼ね備えた人材の価値は、今後さらに高まると考えられます。
3. 市場需要のある医療事務になるために求められるスキルは?
医療事務として長く活躍するには、単純作業だけでなく専門性と応用力を高めることが大切です。IT化やAI活用が進む中で、操作できるだけの人材ではなく、業務を改善できる人材が求められています。
ここでは、医療現場で市場価値を高めるために身につけたい4つのスキルを解説します。
3-1. 医療にかかわる専門知識
医療事務の土台となるのは、診療報酬制度や保険制度に関する専門知識です。レセプト作成や点検では、傷病名・処置内容・薬剤の整合性を確認しなければなりません。制度改正は定期的に行われるため、最新情報を継続的に学ぶ姿勢も必要です。
また、内科や整形外科など診療科ごとの特性を理解しておくと、請求業務の精度が向上します。正確な事務処理ができる人材は医療機関にとって不可欠であり、専門性を深めることが安定したキャリア形成につながります。
3-2. ITスキル
医療現場では電子カルテやレセプトコンピューターの導入が進んでおり、基本的なITスキルは必須です。正確なデータ入力や検索操作に加え、ExcelやWordでの書類作成能力も求められます。入力補助機能や自動計算機能を活用できれば、業務効率は大きく向上します。
さらに大切なのは、ITを生かして業務フローを改善する視点です。どの工程を自動化すれば効果的かを考えられる人材は、組織にとって価値が高まります。操作だけでなく、仕組みを理解する姿勢が差を生みます。
3-3. AIリテラシー
AIが導入される現場では、AIの出力結果を正しく読み解く力が求められます。自動チェック機能やデータ分析結果をそのまま信じるのではなく、妥当性を確認する判断力が必要です。特にレセプトや会計データの傾向分析では、人による最終判断が欠かせません。
また、AIをどの工程に組み込むと効果的かを考える業務設計力も必要です。AIを使われる側ではなく、使いこなす側に回ることで、将来的なキャリアの選択肢が広がります。
3-4. コミュニケーション能力
医療事務は患者さんと医療スタッフをつなぐ役割を担います。窓口対応では、挨拶や言葉遣いだけでなく、不安を抱える患者さんへの配慮が求められます。傾聴力や状況判断力があれば、トラブルの予防にもつながります。
さらに、医師や看護師、システム担当者との連携も欠かせません。ITやAI導入時には、現場の課題を正確に伝える橋渡し役となる場面もあります。人と人をつなぐ調整力は、AI時代でも代替されにくいスキルです。
まとめ
医療事務はAIやITの影響を受ける職種ではありますが、直ちに不要になる仕事ではありません。高齢化に伴う医療需要の増加や、医師の事務負担軽減を担う医療クラークの需要拡大など、社会的背景からも一定の役割は今後も続くと考えられます。
大切なのは、専門知識に加えてITスキルやAIリテラシー、コミュニケーション能力を備え、市場価値を高めていくことです。医療事務を本気で目指すなら、実践的な知識と技術を体系的に学べる「早稲田速記医療福祉専門学校」がおすすめです。専門学校で知識を基礎から身につけることが、将来の安定したキャリアにつながるでしょう。













東京都豊島区高田3-11-17