コラム
介護福祉士国家試験の合格点とは|合格率や合格者の内訳・難易度を解説
介護福祉士国家試験を受験しようか検討中の方の中には、どれくらいの点数を取れば資格が取れるのか疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。介護福祉士国家試験は難易度に合わせて合格点を調整するため、合格点が毎年微妙に異なるという特徴を持っています。
当記事では、介護福祉士国家試験の合格点や合格の基準、またここ5年間の合格率や合格者の傾向について解説します。
1.介護福祉士国家試験の合格点とは
2024年(第36回)介護福祉士国家試験の合格点は、総得点(125点)の約60%が基準となります。ただし、試験の難易度に応じて調整が行われるため、合格基準は毎年異なります。2023年(第36回)の合格点は、筆記試験が67点、実技試験が53.33点でした。
以下は、2023年~2019年の5年間の筆記試験と実技試験の合格点です。
実施年度(実施回) | 筆記合格点(総得点125点) | 実技合格点(総得点100点) |
---|---|---|
2023年(第36回) | 67点 | 53.33点 |
2022年(第35回) | 75点 | 53.33点 |
2021年(第34回) | 78点 | 53.33点 |
2020年(第33回) | 75点 | 53.33点 |
2019年(第32回) | 77点 | 46.67点 |
出典:厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」
出典:厚生労働省「第35回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」
出典:厚生労働省「第34回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」
出典:厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」
出典:厚生労働省「第32回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」
また、筆記試験では総得点の約60%を獲得するだけでなく、11科目群すべての分野において得点する必要があります。1つでも0点の科目があれば、不合格となるため注意が必要です。実技試験は筆記試験に合格した方が受験し、基準を満たすことで最終的な合格が決まります。
2.介護福祉士国家試験の合格率・合格者の内訳
介護福祉士国家試験には、老若男女問わず、幅広い年代の方が介護福祉士を目指して受験しています。以下では、介護福祉士国家試験の全体の合格率や合格者の男女比、年齢の内訳を紹介します。
2-1.全体の合格率
実施年度(実施回) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年(第36回) | 74,595 | 61,747 | 82.8% |
2022年(第35回) | 79,151 | 66,711 | 84.3% |
2021年(第34回) | 83,082 | 60,099 | 72.3% |
2020年(第33回) | 84,483 | 59,975 | 71.0% |
2019年(第32回) | 84,032 | 58,745 | 69.9% |
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」
2023年(第36回)の介護福祉士国家試験の合格率は82.8%と、ここ5年間では比較的高い合格率となりました。2022年に実施された試験に比べると、受験者数は4,566人減少、また合格者数も4,964人減少しています。ここ5年間での平均の合格率は76%です。
2-2.男女別の合格者の内訳
実施年度(実施回) | 合格者数(男女) | 全体の合格者数 | |
---|---|---|---|
2023年(第36回) | 男 | 18,580 | 61,747 |
女 | 43,167 | ||
2022年(第35回) | 男 | 19,955 | 66,711 |
女 | 46,756 | ||
2021年(第34回) | 男 | 17,447 | 60,099 |
女 | 42,652 | ||
2020年(第33回) | 男 | 18,366 | 59,975 |
女 | 41,609 | ||
2019年(第32回) | 男 | 17,514 | 58,745 |
女 | 41,231 |
出典:厚生労働省「(参 考)」
出典:厚生労働省「(参 考)」
介護福祉士国家試験は男女問わず多くの方が受験されますが、受験者は女性のほうが多い傾向にあります。過去5年間のデータでは女性の合格者が全体の約70%前後を占め、男性は約30%程度にとどまっています。2023年(第36回)の試験では、合格者数61,747人のうち、女性は43,167人(約69.9%)、男性は18,580人(約30.1%)でした。
また、ここ5年間では合格者の男女比に大きな変動はなく、女性の受験者が圧倒的に多い傾向が続いています。これは、介護職が女性中心の職業であることが反映されていると考えられます。
2-3.年齢別の合格者の内訳
実施年度(実施回) | ~20歳 | 21~30歳 | 31~40歳 | 41~50歳 | 51~60歳 | 61~歳 |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年(第36回) | 4,857 | 15,676 | 11,486 | 14,941 | 12,174 | 2,613 |
2022年(第35回) | 5,001 | 16,934 | 12,920 | 16,877 | 12,197 | 2,782 |
2021年(第34回) | 4,678 | 14,649 | 11,810 | 16,003 | 10,724 | 2,235 |
2020年(第33回) | 4,671 | 15,379 | 12,161 | 15,735 | 9,906 | 2,123 |
2019年(第32回) | 4,797 | 14,653 | 12,043 | 15,797 | 9,522 | 1,933 |
出典:厚生労働省「(参 考)」
出典:厚生労働省「(参 考)」
年齢別に介護福祉士国家試験の合格者を見ると、21~30歳、31~40歳、41~50歳の年代で多く受験されていることが分かります。21~30歳の方は、2023年(第36回)では全体の約25.4%を締めており、専門学校や福祉系大学を卒業して受験した方が多いと考えられます。また、31~40歳、41~50歳では、全体の約18.6%、約24.2%と21~30歳に次いで多いです。
3.介護福祉士国家試験の難易度と合格のポイント
介護福祉士国家試験の合格率は、関連する資格の社会福祉士国家資格やケアマネジャー(介護支援専門員実務研修受講試験)に比べると高く、比較的取りやすい資格です。以下は、2023年に実施された試験の合格率の比較です。
介護福祉士国家試験(第36回) | 82.8% |
---|---|
社会福祉士国家試験(第35回) | 44.2% |
ケアマネジャー(介護支援専門員実務研修受講試験)(第26回) | 21.0% |
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」
出典:社会福祉振興・試験センター「第35回社会福祉士国家試験の合格発表について」
出典:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
特に、ケアマネジャーの資格は5年以上の実務経験が受験に必要となるため、受験資格を得るのも難しい傾向にあります。しかし、介護福祉士国家試験の合格率が高いとは言っても、しっかりと対策をしなければ受からない資格には変わりありません。
以下では、介護福祉士国家試験の合格のポイントをいくつか紹介します。
3-1.過去問を何度も解く
介護福祉士国家試験に合格するためには、過去問を繰り返し解くことが重要です。過去問を解くことで試験の出題傾向を把握し、頻出分野を重点的に学習できます。また、本番と同じ形式の問題を解くことで、試験時間の配分や解答スピードにも慣れることができます。
特に間違えた問題は、解説を確認しながら理解を深めることが大切です。過去5年分ほどの問題を繰り返し解き、知識を定着させることが合格への近道となります。
3-2.重点的に出される範囲を知る
試験で確実に点数を取るには、重点的に出される分野をしっかりと押さえておくことが大切です。特に「社会の理解」は出題数が多く、介護保険制度や地域包括支援システムなどの幅広い福祉制度について理解しておく必要があります。また、「生活支援技術」も試験の中で一番出題数の多いため、確実に得点につなげたい分野です。
「発達と老化の理解」「認知症の理解」「障害の理解」の知識がなければ解けない分野もきちんとした対策をしておきましょう。
3-3.得意分野で得点を稼ぐ
試験では全分野で得点を取る必要がありますが、合格基準は総得点の約60%のため苦手分野で満点を取る必要はありません。勉強をする中で苦手分野と得意分野が出てきたら、得意分野をまず重点的に勉強して力をつけ、その分野で高得点を取れるようにしましょう。得意分野で高得点を取れれば、苦手分野での失点をカバーすることができます。
3-4.時間配分を意識して勉強する
介護福祉士国家試験は問題数が125問、試験時間は220分で実施されます。1つの問題にかけられるのは1~2分程度のため、全体の問題に解答するには素早く答えていかなければなりません。そのため、本番を想定して時間配分を意識し勉強をするのがおすすめです。
試験本番はどうしても緊張するため、模擬試験を受験して本番の時間配分を把握するのもよいでしょう。緊張状態でどれくらい実力を発揮できるのかが分かり、試験の雰囲気やマークシートによる解答に慣れることもできます。
まとめ
介護福祉士国家試験の合格点は総得点の約60%で、毎年難易度に応じて変動します。2023年(第36回)介護福祉士国家試験の合格点は筆記試験が67点、実務試験が53.33点でした。また合格点は82.8%と、ここ5年間の合格率では2番目に高い数字となっています。
試験対策では、過去問を繰り返し解いて重点分野を押さえ、得意分野で得点を稼ぐことが重要です。試験時間の配分を意識し、模擬試験で実践的な対策を行うことで実際の試験を想定した緊張状態でどれくらいの実力を発揮できるかが把握できます。